バックナンバー:2007年10月
【日本教育史ゼミ】松陰と志士の声を聞く旅。
正(まさ)しく、萩ゼミ研修は、日本の黎明を叫んだ松蔭と長州の志士たちに巡り会えた感動の旅でした。
「松下村塾」に佇(たたず)み、聞こえたのです、日本の未来を熱心に説いかけ、講義している吉田松陰の声が。そして見えたのです、真剣に聞き入る高杉晋作・久坂玄瑞・伊藤博文・山県有朋らの眼差(まなざ)しを。
「野山獄」に触れ、感じたのです、松陰が、囚人達や獄吏に孟子などの講義をし、懸命に訴える叫びを。
歴史を興(おこ)した足跡を辿り、その場に臨み目を閉じて静かに顧みれば、歴史を動かした人々の姿が浮かびます。
「百聞は一見にしかず」。歴史研究は真実を知ることです。
これからも、歴史への旅を誘(いざな)い、古(いにしえ)の舞台へ夢を馳せたい。


(ゼミ4年生 M.N)
*次回は【住環境デザイン論ゼミ】です。
2007年10月29日(月) | 歴史・言語文化コース | 固定リンク
【文化人類学ゼミ】長野県飯田市・下栗の特産物、二度芋を追う。
文化人類学を学んでいる四年生の加藤拓です。
ふだんのゼミでは文化人類学の本を読んで議論したりすることが多いですが、文化人類学の最大の魅力はフィールドワークにあるといわれます。
そこで7月の28、29、30日に長野県飯田市上村にある下栗へ調査実習に行ってきました。


私は下栗で作られている農作物の1つである二度芋について調べてみました。下栗は長野県飯田市上村にある集落で、標高700mから1000mの急斜面に家や耕地が点在しています。
ここで作られる農作物は、下栗独特の風土の影響でほかで作られるものより味が良いと言われています。

●二度芋(下栗芋)
二度芋とは全国で栽培されているジャガイモと同じものですが、下栗で栽培されたものは一般に出回っているものより甘いといいます。古くから上村一帯で栽培されてきましたが、下栗のものが一番味が良かったようです。
二度芋には皮が赤いものと黄色いものの2種類があり、味も若干異なっています。皮が赤いものは収穫してから時間を置いたほうが甘味が増し美味しくなるため、保存用として1年から2年寝かしてから食べられます。
現在は特産物として各地に出荷したり、焼酎や駄菓子などの加工食品に加工されたりしています。
二度芋は下栗全体で約12トンの生産量があり、その中の約8トンが出荷されています。
●二度芋の由来
2つの畑で春と秋に時期をずらして栽培するためこの名 がついた。1つは食用で4月にタネ芋を蒔き、7月に収穫する。それとは別にタネ芋用として6月にタネ芋を蒔き10月に収穫する。昔はそばの裏作として作られたこともあったようです。

●調理方法
芋のサイズによって調理方法が異なります。2cmから3cmのものは見栄えが良いため、出荷され料亭や飲食店などで使われて事が多い。4cmから5cmのものは栽培者が芋田楽などの家庭料理に使うことが多い。それ以上のものは駄菓子などの加工食品や、その甘い性質を利用して芋焼酎などに使われます。
様々な調理方法のなかでも芋を茹でて3個ほどを串刺しにし、地元産のエゴマ味噌をつけて囲炉裏で焼いて食べる芋田楽は代表的な食べ方です。

今回の調査は2泊3日という限られた時間しかなかったので、二度芋のみに焦点を合わせて調査しました。今回のフィールドワークは現地の方々の話を聞いて回るのが主な作業だったのですが、1日目は何を聞いたらいいのかわからず戸惑うばかりでした。
2日目からは前日の反省を踏まえてあらかじめ聞く内容を決めてから臨んだので、短時間で内容の濃いフィールドワークが行えたと思います。フィールドワークでは現地の方々の協力が不可欠ですが、とても親切な方々だったので調査しやすかったです。
今回調査した二度芋は甘くてとても美味しかったです。普段食べているジャガイモと同じもののはずですが、味がまったく違いました。作り方にも特別な工程は無いのですが、なぜこうも味が違うのかとても興味を惹かれました。地元の方々の話では土や気候のおかげではないかとのことでしたが、土や気候が違うと同じ野菜でもこうも違うものなのかと、改めて環境が周囲に与える影響の大きさに驚きました。文献資料では調べることのできない、現地住民の生の声を聞くことで文献とは違う角度で調査し、考察できることが文化人類学の魅力だと思います。
(ゼミ4年生 T.K)
2007年10月22日(月) | 歴史・言語文化コース , 歴史・言語文化コース | 固定リンク
【臨床心理学ゼミ】夏合宿に行ってきました。
7月の28、29日に1泊2日で毎年恒例の「臨床心理学ゼミ合宿」を浜名湖湖畔の浜名湖グランドホテルで行ないました。参加したのは、4年生10人、3年生16人、そして教員の私の、計27人でした。
いつもは民宿や国民宿舎など質素な場所で行なうことが多いのですが、今年は、幹事のプランで、少し贅沢に、大きな豪華なホテルでの合宿でした。
28日の朝は、本宿駅からチャーターバスで、途中浜松のイオンで休憩・昼食を取った後、ホテルに向かい、さっそく午後から、ホテル内の会議室で真面目に勉強しました。
まず4年生が現在悪戦苦闘して取り組んでいる卒業論文の内容について発表し、さまざまな意見が出されました。3年生は4年生の気迫にちょっと圧倒された感じで、発言があまりなかったのは残念でした。しかし卒業論文をまとめることの大変さ、難しさ、そして面白さも、3年生は肌で感じられたのではないかと思います。
5時に勉強を終えて、6時から宴会場で食事になりました。ちょうど、浜名湖で花火大会が開かれており、大きな窓から見える花火に歓声を上げながらのにぎやかな食事でした。食事後は、カラオケしたり、花火現物にホテルの外に出かけたり、おもいおもいに楽しく過ごしました。夜遅くまで大騒ぎしていたグループもあったようです。
29日も暑い中、朝から勉強という大変に真面目なプランでした。私自身の大きなテーマでありながら、日頃の大学内のゼミでは時間が足りなくてなかなか話せない「重篤なこころの病いの患者さんに対する臨床心理学的理解とその心理療法的援助」について、資料を用意して私が講義しました。理論的なことだけでなく、合宿ではいつも、開放的な雰囲気にも誘われて、普段の講義ではあまり言わない、私の挫折や失敗の体験など個人的なプライベートなこともいろいろ話しています。臨床心理士である私という人間のありのままを知って貰うことも、臨床心理学を学ぶことの一つだと思っています。
少々の疲れと充足感を感じながら合宿を終え、夕方、全員無事に本宿に帰ってきました。
(渡辺雄三)


*次回は、【文化人類学ゼミ】です。
【資源循環型経済社会論ゼミ】留学生と中国上海を視察
今年8月、資源の国際循環を調査研究するため中国の上海市を訪れました。通訳のために本学の留学生に同行してもらい大いに助かりました。上海空港から市内までのアクセスはリニアモーターカーを利用します。日本の新幹線をはるかに超える時速430kmのスピードは景色が飛んでいくかのようです。左の写真は外灘(バンド)から眺めた東方明珠塔です。アジアで一番高いテレビ塔で観光スポットの一つです。現在、上海は中国経済をリードする先進市で、超高層ビルが林立し、人も車もごったがえして大変活気にみちています。

しかし、急激な近代化にともなういろいろな都市問題も抱えています。車の急増に対して信号などのインフラ整備が間に合わず、交通事故が多発しています。朝の幹線道路は慢性的な渋滞です。ドライバーの交通マナーも未熟で、タクシーに乗ると恐ろしいほどの猛スピードでカーチェイスでもしているかのようです。また、近代化の一方で古い街並み、昔ながらの市民生活も息づいています。右の写真は、私が宿泊したホテルの裏通りで見かけた朝市のワンショットです。入りくんだ細い路地に幾十もの露天商が立ち並び、普段着姿の買い物客で大いに賑わっています。上海は現代と過去、富める者と貧しい者、光と闇、表と裏、いろいろな顔をもった摩訶不思議な大都市です。

(吉野敏行)
*次回は、【臨床心理学ゼミ】です。
【環境保全論ゼミ】2007年度はこんな場所で調査をしています。
三重県尾鷲市の海岸性照葉樹林(March 10, 2007)

この調査地にたどり着くには徒歩で片道1時間以上を要する。船をチャーターして海上からアクセスすることが多いため、しばしば天候に泣かされる。3月の調査では、海が荒れそうだとの予報で調査時間が急遽2時間短縮された。7月に計画した調査は、太平洋上を通過した台風の影響でキャンセル。8月の調査では、昼過ぎにものすごい土砂降りに遭い、調査は1時間ほど中断した上に下着までびしょ濡れになった。苦労の多い調査だが、人の侵入を拒む自然には凛とした美しさがある。
京都府芦生の冷温帯性混交林(May 12, 2007)

柔らかな新緑の中での調査は気持ちのいいものだ。しかし、一見豊かに見えるこの森では、最近の15年間で劇的な下層植生の貧困化が起こっている。その原因と対策を明らかにする調査は緊急の課題だ。調査に関わる我々の責任は大きい。
三重県南島町の湖辺植生(Sept. 15, 2007)

数日の豪雨で湖の水位が一気に1m以上も上昇し、ヒトモトススキ群落が水没している。自然の表情の激変に圧倒される。
三重県南島町のハマナツメ群落(Sept. 15, 2007)

豪雨で湖の水位が上昇したために、水没したハマナツメ群落。さながらマングローブのような奇怪な様相を呈している。
長良川の渓岸環境(Aug. 1, 2007)

増水と渇水を繰り返す渓流環境には、他では見ることのできない植物が生育する。ここでは、岩のわずかな裂け目や苔の上にサツキ、アオヤギバナ、ケイリュウタチツボスミレなどの「渓流沿い植物」がみられる。「進化の実験場」としての渓流環境への興味は尽きない。
三重県尾鷲市での調査の一コマ(Aug. 29, 2007)

炎天下の調査は過酷で、わずかな緑陰で昼食をとる。しかし、この1時間後にものすごい夕立に遭い、あっという間に下着までずぶ濡れに。刻々と表情を変える自然が研究相手と言うことを身をもって体感した1日であった。
(藤井伸二)
*次回は、【資源循環型経済社会論ゼミ】です。


