【文学の現在ゼミ】「ことば」の不思議
1.「あみ棚」?「荷棚」?
先日、北海道で電車に乗ったとき、車内放送で「荷棚」という「ことば」を使っていました。愛知県では「あみ棚」といっています。昔は太い糸で編んだものが使われていたので「あみ棚」という名称になったのですが、その後、金属の網になり、今ではパイプが使われていることが多いようです。実際の物を観察してみれば「荷棚」の方が正しいのですが、現実には「あみ棚」が日常的な「ことば」として使われています。このような例はたくさんあります。たとえば、緑の「黒板」とか・・・
2.「枯葉」を集めるのは?
秋になると公園に枯葉がたくさん落ちています。その枯葉を箒で集めて焚き火をし、焼き芋を焼く、なんていうことも以前の日本ではよく見られる光景でした。ところが、有名なシャンソン「枯葉」では、箒ではなく、シャベルで集めます。実は、こんなささいなことに昔は気がつかなかったのですが、最近、何故か気になっていました。最近、この謎が解けました。それは、「枯葉」の季節は、フランスでは雨の季節だったということです。雨に濡れてしまった「枯葉」を箒で集めるのは大変です。「シャベルですくう」という表現が生まれてくるのは季節に関係していたわけです。

3.「凧揚げ」の季節は?
お正月に凧揚げをした経験のある人は多いと思います。最近は広い空き地が減ってきましたから実際に凧を揚げる人は少なくなってきましたが、「凧揚げ」は普通は冬です。ただし、浜松は5月に有名な凧揚げ大会があります。
下の絵を見てください。これはフランスの小学生向けの辞典の中にあるイラストです。夏の海水浴場ですが、ここに凧揚げが描かれています。フランスでは「凧揚げ」は夏の景色になります。

日本の文学を海外に翻訳しようとするとき、このような文化の違いを知っていないと大きな誤解を広めてしまうことにもなりかねません。文化の違いというのは日常的なところにあります。ところが、日常的なことはなかなか文字情報として伝わりません。
異文化を知るためには、文化を論じた本を利用することがあります。しかし、日常の生活が本当によくわかるものは子ども向きの書物です。絵本やマンガもとても便利です。
(ゼミ担当教員:日比野雅彦)
*次回は【日本教育史ゼミ】です。
2009年02月05日(木) | 歴史・言語文化コース , 歴史・言語文化コース


