ゼミリレーブログ | 人間環境大学

バックナンバー:2009年10月

【比較日本文化論ゼミ】日本文化に対する?(6)

新米のおいしい季節です。戦後長い間、日本人の米離れが問題となって来ていますが、パン食や麺食がどれほど普及しても、それらが米食に完全に取って代わるというようなことは、今後とも少なくとも日本ではありえないでしょう。

かように日本人にとってなくてはならないお米は、単なる食料の問題に尽きるわけではありません。五穀豊饒を祈願しない神社はないだけでなく、水田稲作は、四季の移り変わりとともにある日本人の自然との関わり方や、物作りに対する日本人の姿勢に深く影響を与えてきました。また、おいしいお米作りに必要な良水の源を大切にするという意味で、水田稲作は森林保護の一翼を担って来たばかりでなく、水田が緑のダムと呼ばれることもあるように、急峻な地形の多い日本において、水田稲作自体、日本の自然環境の保護と維持に大きい役割を果たして来ました。

日本語の「お米」のみならず、ご飯やおむすび、お酒等の言い方は、文化庁国語課の審議会が国民に対する「敬語の指針」で説くような(単に言葉を飾って言う)「美化語」、ではありません。日本語のこれらの言い方には、天地自然の恵み、神仏の加護、育ててくれたお百姓さんの労苦、養ってくれる父母の恩、社会の流通機構、そういったものに対する感謝を込めた敬意が含まれているのです。



(ゼミ担当教員 吉田喜久子)



*次回は【住環境デザイン論ゼミ】です

【身体文化論ゼミ】4年間の仕上げの卒論、エンジンがかかりはじめました

社会・文化環境論(身体文化論)ゼミの4年生は、卒業論文の完成をめざして、少しがんばり始めています。(担当教員としては、ゼミ生が無事に卒業論文を書き上げることができるかどうか、はらはらどきどきの季節の到来です。)
今年度のゼミ生の卒業論文について、簡単にまとめてもらいました。

人はどうしてネコに癒されるんだろう?(ネコ好きのペット論)
私は、猫が人に与える影響について研究をしています。
現代の人々にとって生活するうえでペットは欠かせないもの、家族の一員としてその役割を担っている。多くの種類のペットの中でも私は猫について他の動物と比較し、ペットが人間に与える影響を考えていきたい。(I)

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「人はなぜオートバイに乗るのか」
身体がむき出しになり、事故を起こせば大事に至る確率だって高い。車という便利な乗り物がありながらもバイクに乗る、何故だろう。
その理由を、バイクに乗って旅をするエッセイストと、ヤマハと東北大学の川島隆太研究室の「二輪車乗車と脳の活性化の関係」についての研究を主に、解いていく。なお、今回の研究対象は、原動機付き自転車は研究対象外とする。
各々のエッセイを読んでいくと、外界に身体むき出しで走ることによる空気抵抗で、自分の素材を確認できることや、車にはない体全体で操るイメージがあり、五感をフルにして、自由自在に操ることにまず乗り手は魅力を感じるようだ。
川島教授たちの研究では、①ベテランライダーと②ブランクライダーの双方にバイク運転時の脳の働きについて研究し、その結果、まず脳の使い方が違うこと、20歳を超えると誰もが機能が下降する前頭前野(「思考」「行動の抑制」「コミュニケーション」「意思決定」「情動の制御」「記憶の制御」「 意識・注意の集中」「意識・注意の分散」と言った役割を持つ)が、活性化されることが分かった。脳が活性して様々な効用を身体に与えていて、それを無意識にライダーは理解し、オートバイに乗るという考えに至る。(K)

本当はコワイ、『風の谷のナウシカ』??
卒業論文は、宮崎駿監督作品の『風の谷のナウシカ』をもとに、“恐怖心”について、研究しています。多くのファンがいる宮崎アニメですが、心温まる作品の裏側には、“こわさ”が潜んでいるのではないかと考えました。そして、何が“恐怖心”を掻き立てるのか、“恐怖心”とは、何なのかを分析しています。分析をする中で、自分自身の中にある“恐怖心”と立ち向かいながらの分析になるので、大変なことはとても多いです。ですが、この当たり前の感情が何なのかを解明すべく、頑張っています。(O)

『東京ディズニーランドの非日常的空間の造られ方』
今までに、東京ディズニーランドには3回行ったことがあり、その時に感じた、どうしてこれほどまでに非日常的空間ができるのだろうと感じたことをきっかけに、東京ディズニーランドの完璧な空間を何がどういう風にして造られてぃるのかを、建物、小物、植物などの形や色に注目し、7つのテーマランドごと分析し、それぞれのエリアが持っているテーマを基にどう表現しているのかを明確にしていく。(M)


ガンダムのアムロは、ヒーロー??
ガンダムの主人公であるアムロは、ヒーローとは言い難いにも関わらず、なぜ受け入れられたのか。アニメ史から辿るとともに、オタクも重要な要素であると考え、当時の社会や流行からも検討していく。(K)



(ゼミ担当教員 石上文正)



*次回は【比較日本文化論ゼミ】です

【基礎心理学ゼミ】プロゼミでの実験

後期のプロゼミナール(2年生向けゼミ)では,受講生を4つのグループに分けて,実験を行うことにしました。自分でテーマを決めて,実験計画を立案し,実験を行うという一連の作業を行うのは初めての経験ですので,どのグループも試行錯誤しながら頑張っています。ちなみに取り上げる4つのテーマは以下のとおりです。


・解説方法の違いが折り紙作業に及ぼす影響
・文字の大きさが印象評定に及ぼす影響
・不安や恐怖の感情が時間評価に及ぼす影響
・色相の違いが記憶色に及ぼす影響


どのテーマも日常生活で遭遇する疑問や不思議に基づいたものですが,それらを心理学研究の枠組みに組み込んで実験をするのはかなり難しい作業です。「小さい文字を書く人は気が弱そう」とか,「ホラー映画を見ていると時間が過ぎるのが遅い」といった印象は誰でも抱くようなことですが,そうした“あるあるネタ”をどうやって研究に昇華させるのかが腕の見せどころになります。数ヶ月後におもしろい結果をこのブログで公開できることを期待しています!

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(ゼミ担当教員 芳賀康朗)



*次回は【身体文化論ゼミ】です

【環境経済学ゼミ】海外大学単位互換授業参加の感想

環境経済学ゼミに所属している3年のM.I.です。

本学には日本語教育の文野教授が担当しているプロジェクト、海外大学単位互換授業という授業があります。どのような授業かというと、台湾の東海大学と慈済大学の学生と人間環境大学の学生が、一週間~二週間生活や調査学習を共同で行います。ここで目的としているのは、相互理解や友好関係を築くことです。

この授業には1年生の時から参加しています。友だちになった台湾の友人とはいまでも頻繁に交流しています。共通言語は日本語ですが、もっと中国語を勉強して、かれらの言語でもコミュニケーション取れるようになりたいと思っています。

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これから活動報告書の作成などもあり、まだまだ気が抜けませんが、頑張りたいと思います。
                               



(3年ゼミ生 M.I)



*次回は【基礎心理学ゼミ】です

【環境保全論(生物多様性論)ゼミ】2009年夏の野外調査から

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阿賀野川の原野環境(新潟県,June 12, 2009)
 初夏の原野はオオヨシキリの声で賑わう.

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二王子岳から臨む飯豊連峰(新潟県,June 12, 2009)
 残雪の残る夏山の眺望は最高.過酷な調査の合間にひとときの休息を楽しむ.

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木曽川の原野環境(岐阜県,June 28, 2009)
 写真中央の調査地までの直線距離は約50m.しかし,高さ2mを超えるオギ群落が行く手を阻むため,大きく迂回して3倍以上の距離を進まねばならない.無事にたどり着けるかどうかは,自身の地形把握能力,距離感覚,方向感覚のみが頼り.

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渡良瀬遊水地の原野環境(茨城県,July 11, 2009)
 「広大」の一言に尽きる.マイヅルテンナンショウ,ヒメヨモギ,ゴマノハグサ,ミコシガヤなどの原野性希少植物が生育する.しかし,一人でオギ群落の中に足を踏み入るのは危険.迷ったら二度と出られないかもしれない.

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蕪栗沼の原野環境(宮城県,Aug. 1, 2009)
美しい景観だが,この中に踏み込んでの調査となると,美しさを楽しむ余裕は消し飛んでしまう.自然との厳しい対峙の瞬間を避けることができないのが野外調査の宿命.

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島勝神社のビロードムラサキ(三重県,Aug. 21, 2009)
 本州では非常に珍しい植物.この貴重な植物の幹にはシカの食害(皮剥)跡が見られる(写真右).このままシカの食害が継続すれば絶滅する可能性もあり,非常に心配.



(ゼミ担当教員 藤井伸二)



*次回は【環境経済学ゼミ】です

【日本美術文化論ゼミ】『源氏物語絵巻』「柏木一、二、三」をよむ

『国宝源氏物語』の「柏木一、二、三」の3つの絵は、「柏木」という同じ源氏物語中の章を描きながら、ずいぶん画面構成が異なります。今回は学生にこの三点を比較検討してもらいました。

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図1

まずはそれぞれの画面を構成している主要な線を拾いだしてもらいました。図1はK.T.さんの例で、青い矢印で描かれているのがそれです。柏木の帖は、源氏の妻女三宮と若い貴公子柏木の不倫の顛末がその内容です。図1上の「柏木一」は、罪の意識から出家を願う女三宮、それを引き止めたい源氏、彼女を見舞いに来た父の朱雀院、それぞれの思いがいろんな方向に錯綜した画面内の線で表現されているのがわかります。K.T.さんは画面内の人物がつくりだす三角形(オレンジの形体)が、さらに不安定な画面を演出していると指摘しました。

図1中「柏木二」は対照的に水平線が支配的な画面、やはり罪の意識から死の床に臥せる柏木と、源氏の息子で友人の夕霧がそれを見舞う沈鬱な場面です。動きのない水平線が支配的なのがわかります。

図1下「柏木三」になると今度は左下がりの斜線が画面を支配しています。画面の上端からその斜線に沿って転げ落ちそうな源氏の姿は、女三宮と他界した柏木の間の不義の子を、自分の息子として祝わなければならないという、彼の追いつめられた心理を表しています。K.T.さんは、柏木の帖本文の源氏と女三宮のやりとりが、絵巻の詞書ではカットされていることを発見しました。「柏木三」では原作にある女三宮は描かれず、女房たちも顔をこちら側に向けていないことから、源氏のモノローグドラマとして脚色された絵だということがわかりました。


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図2

図2は、学生たちに画面内をどのような順番で見てゆくかということを、走査線として赤線で示してもらったものの一例です。絵巻は右から見て行くという原則と、詞書の内容は事前の情報として与えておきます。授業ではこうしたサンプルの集積から視線の注視と移動の法則を導き来だすべく議論をおこないます。



(ゼミ担当教員:菅原 太)




*次回は【環境保全論(生物多様性論)ゼミ】です

【英語コミュニケーションゼミ】秋の過ごし方

皆さん、こんにちは。英語コミュニケーション担当教員の岡です。このゼミは来年度の新入生からスタートします。10月になりずいぶん涼しくなってきましたね。

さて、少々以前のことになりますが、夏休みも最後となる9月10日、11日の2日間、蒲郡で「英語セミナー」を実施しました。簡単な英語を使ってコミュニケーションする課題をたくさん用意して、「自分の英語でもいろんなことが表現できるんだ」と感じてもらいました。夜は豪華な夕食や花火を楽しみ、参加者からは「とても楽しかった来年も参加したい。」という声も多くありました。「英語コミュニケーション」を選択する学生はこのような行事の中心となり、さらに盛り上げてもらいたいと思っています。より詳しくはこちらへどうぞ。

秋といえば読書。皆さんはどんな本を読んでいますか?英語の勉強も兼ねてやさしい英語の本に挑戦してみてはいかがでしょうか。私の英語クラスでは多読を実践し、自分の興味とレベルに合った本を自由に選び、自分のペースで読み進んでいきました。途中で飽きたり続かなくなってしまったら、別の本にかえてもOK。そのようして英語を読む楽しさを学生たちに経験してもらいました。Chemical Secret(下の写真)もそのような本の一冊です。環境の問題や心の葛藤を扱っていて英語がやさしい割に中身は濃い。もちろん、私の研究室にもあります。


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(ゼミ担当教員:岡 良和)




*次回は【日本美術文化論ゼミ】です

【文学の現在ゼミ】音で小説を測る

(A)
吾輩は猫である。名前はまだない。
どこで生まれたかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかももあとで聞くとそれは書生という人間中で一番獰猛な種族であったそうだ。

(B)
或る日の暮方の事である。一人の下人が、羅生門の下で雨やみを待っていた。
広い門の下には、この男の外に誰もいない。唯、所々丹塗りの剥げた、大きな円柱に、キリギリスが一匹とまっている。羅生門が、朱雀大路にある以上は、この男の外にも、雨やみをする市女笠や揉烏帽子が、もう二三人はありそうなものである。それが、この男の外には誰もいない。

(C)
国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。
向側の座席から娘が立って来て、島村の前のガラス窓を落とした。雪の冷気が流れこんだ。娘は窓いっぱいに乗り出して、遠くへ叫ぶように、
「駅長さあん、駅長さあん。」
明かりをさげてゆっくり雪を踏んできた男は、襟巻で鼻の上まで包み、耳に帽子の毛皮を垂れていた。

(D)
僕は37歳で、そのときボーイング747のシートに座っていた。その巨大な飛行機はぶ厚い雨雲をくぐり抜けて降下し、ハンブルク空港に着陸しようとしているところだった。11月の冷ややかな雨が大地を暗く染め、雨合羽を着た整備工たちや、のっぺりとした空港ビルの上に立った旗や、BMWの広告板やそんな何もかもをフランドル派の陰うつな絵の背景のように見せていた。やれやれ、またドイツか、と僕は思った。


上の(A)~(D)はそれぞれ日本を代表する小説の冒頭の部分です。そうです。(A)は夏目漱石の『吾輩は猫である』、(B)は芥川龍之介の『羅生門』、(C)は川端康成の『雪国』、(D)は村上春樹の『ノルウエイの森』です。一部現代表記にしましたが、それぞれの文章を声に出して読んでみてください。目で文字を追っているときと、声に出して読んでみるときと、なんとなく違いがあると思いませんか?

文学作品は、文字を使ったものです。しかし、もともと「ことば」は音でできています。「小説を「音」の面から捉えなおしてみよう」、これが今、ゼミで取り組んでいるテーマです。とりあえず、ローマ字にして母音の特長をしらべてみました。『猫』の最初は「a」の音が多いのにびっくり。
ところで、東京の猫が三河弁でしゃべったらどうなるのか、『羅生門』を京ことばで復元してみたらどうなるだろう・・・

後期は、ゼミの時間が方言の時間になるのかも


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(ゼミ担当教員 日比野雅彦)



*次回は【英語コミュニケーションゼミ】です 

【宗教と倫理ゼミ】予定の無い世界

「インシャラー」などという言葉を知っているだろうか。「もし神が望まれるのであれば」という意味である。悪く訳して「なるようにしかならない」などと訳すこともある。日本にいると予定表、時刻表など計画表だらけである。それでいて何とかそれにあわせて動かそうとし動いている。中東に生活していた私は予定表の通り動かない世界を体験する中、生き方について考えさせられる機会が多々あった。本当は予定通りになんか動かないにもかかわらず、予定に慣らされた生活をしていると自分が世界をコントロールしている気になってくる。

宗教は「お前の生き方それでよいのか」といつも問いかけてくるものである。インシャーラーの考え方を身につけると、目の前に起こる出来事について自分を離れて見る目を得ることになる。そこから過度の期待も失望もせず永遠のものに目を向けることができるわけだ。あなたはそんな予定の無い世界に住んでみたいと思いませんか?




(ゼミ担当教員 伊藤利行)



*次回は【文学の現在ゼミ】です

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