【宗教と倫理】F・ハイラー「祈り」(Das Gebet)第5版(1923年)を演習に使用
祈りに関する古典的著作であるが、初版が1918年、英訳が1932年にOxfordからでているが、内容構成が最終版の第5版と異なるので、明記はないが初版の翻訳であろう。「宗教史的宗教心理学的研究」と副題が付けられているが、フロイトやユングなどは登場しない。そのようなタイプの宗教心理の分析ではない。今日では悪い意味でフロイトやユング流の分析方法に汚染されている部分もあるように思えるが、古代からの様々な諸宗教(といっても中心はキリスト教であるが)の中に響いている宗教的感性が大量に取り扱われている。本年から演習で、この本の暫定訳を作って用いている。「祈りは宗教の中心的な現象である」で始まるハイラーの記述は、祈りのタイプという分類が中心的な記述内容となっているが、讃美や神秘主義の分析にも及んでおり多彩で興味深いものである。ここ数年は、この本に導かれて祈りの広がりの検討を行うことになるだろう。
(ゼミ担当教員 伊藤利行)
次回は【文学の現在ゼミ】です。
2010年04月19日(月) | 歴史・言語文化コース


